銅版画の制作を以前からやってみたいと思っていたところ、
2022年に版画家の先生に教えていただく機会を偶然にも得ることができました。
本当に素晴らしい先生で、多種多様な技法を自由度を持って熱心に教えてくださいます。
それ以来、毎週工房で作品をつくっています。
AI画像生成の技術も進んで、いまや数十秒で細密画から抽象画も描けてしまう時代に、
私はどうしてこんなに時間も手間もお金もかかる技法に魅了されているのか...
銅版画のドライポイントで作品が完成するまでの過程をざっと書いてみると、
銅版を磨く→プレイトマークをつくるため銅版の四辺を削る→ニードルで描画する→紙をカットする
→紙を水に浸す(3時間以上)→版に専用インクをのせる→余分なインクを寒冷紗、人絹、新聞紙で拭き取る
→紙の余分な水分を拭き取る→版の上に紙を置き、プレス機で試し刷りする→修正を加えたい場合はここで修正を加える
→本刷りする
といった感じです。
なので、半日かけてもたくさんは刷れないのです。
へとへとにもなるし..
それでも、刷り上がりの紙をめくるときはいつでもワクワクするし、
しっとり湿った厚い紙にインクがにじんでいる風合いが、私はなんとも言えず好きみたいです。
頭で考えたまま、思ったようにはいかないところや予想外の仕上がりも
魅力のひとつかもしれません。
この味わいはデジタル表現ではきっとむずかしい。
版画ならではないかな。
AIに負けない(笑)。